泣いている我が子を泣き止ませる方法が
授乳と抱っこしかない今。
大部屋で無音の中、真っ暗なベッドの上で
ひたすら抱いて揺らして、母乳をあげて
それでも泣いている子を抱きしめて
自分も声を殺して泣いていた。
不甲斐ない親でごめん、まだなにもできなくてごめんと
零れる涙が止まらず、
何時間もただ授乳と抱っこで時間を潰す夜だった。
どうすることもできなくて、辛くてたまらなかったけれど
腕の中でしゃっくりをしているおひさまを見たら
ああ、この子はずっとお腹の中にいた子なんだな
あの時感じていた胎動と同じしゃっくりだと思ったら
とてつもなく愛しくてたまらなかった。
明け方、全く眠らせることができず
助産師さんの待つ授乳室に向かい
ボロボロのまま「寝ませんでした~」と伝えて
よく頑張ったねと励まされた。
たまたま誰もいない時間だったから、親身に話を聞いてもらって
授乳量を増やしたり、少し早めにミルクをあげるのを良しとすることになり
朝方少しだけ、新生児室に預かってもらうことにした。
1時間半ほど眠って、授乳室に会いに行った。
ミルクも母乳も好き嫌いせず、いっぱい飲んでくれるおひさまを見て
凄くホッとした。
誰もいない授乳室で、助産師さんと写真を撮ってもらった。
私が入院したときに夜間ずっと付き添ってくれてた方だったから。
あと2人、お世話になった方がいるからその人たちとも写真を撮りたい。
でも、一番撮りたかったのが今日の方だったから凄く嬉しかった。
出産前もそうだけど、昨日から今日にかけての時間が
一番辛かったタイミングだったと思うから
その夜を一緒に越えてくれた助産師さんには
本当に感謝したし、戦友のような気持ちになった。
記念写真は二人ともボロボロで、それがまた凄く思い出に残った。

朝ごはん、しっかり食べてまた今日も1日が始まる。
すでにもう満身創痍だったけど
入院生活もあと少しで、覚えなきゃいけないことだらけだ。
自分の点滴やシャワーのスケジュールもあって
ほとんど休みなく過ごしている。
今日は昼前に沐浴指導があって
眠ってない体と頭ではかなり難易度が高かった。
ずっと4キロ近いおひさまを抱いてあやしていることや
出産時の筋肉痛もあり、腕の力もほとんど出ない中
深い浴槽で沐浴をさせるのは本当に怖かった。
基本的には部屋で過ごしているけれど、
なるべく授乳室に行って、助産師さんに相談しながら
気を張らすのが良いと分かったし
そこで覚えたことを、必死にメモした。
育児に答えなんかないと分かっているけれど
それでも、手段は多いほうが良い。
あまりに私が疲れて見えたのか、
助産師さんに預かりますか?と聞かれたりしたけれど
ようやく解決策がいくつか出てきたんです、
再現性のある方法を見つけたいから、一緒にいたいんです。
少しでも経験数を増やして、母数を増やさないと
退院してから困るのはこの子だからと。
かたくなに自分で対処しようとする私を
きっと困った人だと思っただろうけれど
それでも良いから、この子にとっての取説を
私の中に増やしていかねばと思っている。
そのために、恥ずかしさや気まずさを忘れて
助産師さんになんでも聞くようになった。
今日はお祝い膳を出してもらう日だった。
この病院は、お祝い膳を家族と食べられるサービスがあったんだけど
彼は残念ながら仕事で抜けられず、私一人でいただく手配をした。
お部屋に配膳してもらったご飯は凄く豪華だった。
本当なら、母一人でのご飯らしいけれど
私の希望をかなえてくれて、おひさまも同室で過ごしている状態で配膳してもらい
写真だけ撮ったタイミングで、おひさまが大泣き。
そのまま、ナースステーションに駆け込んで、預かってもらうことに。
「お祝い膳の日で…」と言った瞬間に
「預かりますね!!!!」って食い気味に返事してくれたの
よく分かってるなって感じがして面白かったな。

凄く豪華なご飯をいただいて、デザートまでしっかり食べてから
授乳室におひさまをお迎えに。
ただ、連日の睡眠不足が祟り
かなりふらふらとしてたので(後から考えれば貧血も酷かった)
授乳のインターバルは新生児室に預かってもらい
次の授乳まではお休みすることに。
これができたのも、昨夜必死に向き合って
どう抱っこすればいいかとか、
この泣き方はミルクだ、おむつだ、と分かるようになったからで
何も分からないままだったらきっと
預けることもできなかったと思う。
赤ちゃんがいると眠れないでしょう?
夜の間預かってもいいよと言われたけれど
それだと家に帰っても、赤ちゃんがいると眠れなくなってしまう。
私はこの子が傍にいても、眠れるようになりたいって言って
夜間の預かりは断った。
我ながら頑固な言い方だなと思ったけれど本心だった。
私は、里帰りもしないし
彼と二人で子育てをしていかなきゃいけない。
彼は仕事で忙しいし、ほぼワンオペで頑張っていくことが決まっていて
退院したら離れて過ごすことはできないのだから
今練習しないでいつするんだって話なので。って言って
その後も、不安に感じていること、疑問を
助産師さんにいっぱい質問した。
周りにいるお母さんたちは、いつの間にか
私よりも後に出産した人たちに入れ替わっていて
ストイックに質問している私を見て
大変ですね、頑張ってらっしゃるんですね…ってしみじみと言ってたのが聞こえた。
きっと今夜も、なかなか眠ってくれないんだろうけれど
それでも一緒にいる。
一緒に泣いてしまうだろうけれど、それでも
ただ抱いているだけでもいいから傍にいる。
今できることをして、後悔しないように。
必死に母になろうと藻掻いている。
=遊兎=


