Cry for the Moon

哀しがりの黒猫のひとりごと。

大切という言葉が似合わない



髪が長かった頃の写真。
偽物みたいな眼をしている。

今もそうなのかな、
私。

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彼に付き添ってもらって
紹介を受けた大きな病院に行きました。
その術式といえば、トップに出てくるような
ちょっと有名な病院のようで
新しい院内に、たくさんの人と診察室が並んでました。

突然の雨で電車が遅れてしまい
少し焦っていたのだけれど
無事に診察を受けられました。

触診とエコー検査。
診断は大きく変わらず、
ただ、腫瘍の中身の成分が違うだろうってくらいで。


術前検査が7/21に、
入院が8/21から5日間の予定。

全身麻酔だけれど、短時間の手術で済む様子。
抜糸も要らない手術なんだって。
術後も1度検診に来るだけで済むらしい。

病院が苦手で、
人が苦手で、
終始びくびくしていた私の手を
ずっと握ってくれてた彼に感謝。

病院から戻る道、
私は帰路へ、彼は会社へ。
仕事前に付き添ってくれて、本当にありがとう。


今日決まったことを母に連絡して、
入院中の付き添いの話とか、
少しずつ打ち合わせている。

実感のない私よりも
遠くにいる我が子を心配する母の方がそわそわしていた。

たった5日だ。
手術だって、私は寝てるだけだ。
お医者さんが頑張るだけだ。


病院に行きたくないとぐずっていた昨夜の私。
「わたし、わるいことしてないのになんで?」って
彼にしがみついてイヤイヤと首を振ってた。
遊兎は悪くないよ、何にも悪くないよって
子どもに言い聞かせるみたいに
彼は宥めてくれた。

命に関わる手術じゃない。
だから、大袈裟なことをいってることも分かってる。
でも、
不摂生でもなく、
女性に生まれただけで
ある一定の確率で発症するものを引き当てた。
いわゆる貧乏くじを引いただけで

何十万の手術代と入院費がかかり、
引っ越しや新婚旅行が先送りになり、
二人で過ごす夏がひとつ犠牲になる訳で。

理不尽に怒りたくなる気持ちもある。
怖さよりも納得いかないもやもやの気持ちが勝ってしまう。


それでも、
結婚一年で、急に嫁が手術だ入院だと
突き付けられた彼の方が
よっぽど振り回されているはずなのに
少しも嫌な顔をしないでいてくれる。
遊兎の健康が大事って
大切な嫁なんだから当たり前って。

申し訳ない。
不甲斐ない。

命に関わる病気を引かなかっただけ
良かったと思うべきなんだろう。
きっと。


でも悔しいな。
一緒にいろんなとこ、行きたかったし
おっきなお部屋に引っ越して、
もっと二人の生活を豊かにできるはずだったのに。
無理ばかり強いてしまっている。

ごめんね、


=遊兎=