Cry for the Moon

哀しがりの黒猫のひとりごと。

ただ唐突に泣きたくなる

昨夜、SNSで見かけた展示が

明日までと知って、急遽彼にお願いをして

一緒に見に行ってもらいました。

仕事でスケジュールが埋まっているのに、

私が話をしたら時間を作ってくれた。

忙しいのに、いつもありがとう。

 

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行ってきたのは、寺田倉庫 WHAT MUSEUMで開催されていた

建築模型展ー文化と思考の変遷ー。

 

古代から現代までの建築模型を20点ほど展示しながら

模型の在り方、建築においての模型の重要性、汎用性、

美しい建築へのこだわり、変遷といったものを考える展示。


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展示は、写真OKのものが多く

ショーケースに入っていないものもたくさんあって

間近でぐるっと回りこむこともできて、

本当に楽しかったです。

 

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いやはや、細かいところまで作られていて圧巻。

完成した建築と同じ模型もあったけど

構想中に作られるスタディ模型もいくつかあって

そんなの普通見ることができないから、かなり貴重で興奮しました。

これ、学生時代に見てたら脳がパンクしてただろうな。笑

 

必要以上に飾られていない、

ただ模型をじっくりと見る展示。

なぜ、この形にしたのか

どんな思いがあって、どんな工程を踏んだのか

ひとつひとつ考えていくうちに、どんどん没入していく。

 


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これは紙で作られた持ち運べる模型。

学生の時に私もこういうの作ってたなあ。

手軽で良いんだよね。

でも、当時は手書きだったんだろうなと思うと

ほんとクオリティが高くて凄い。

 


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これはdaita2019という、

実際に建てられた事務所兼自宅の模型。

建物の半分が、植物園のようになっているんだけど

それ以上に、最上階が最高すぎて

めちゃめちゃ接写で撮ってました。

 

採光が良すぎる…

ただの模型ではあるんだけど、小物もしっかり作りこまれていて

すでにもうこの空間に生活が存在してる。

植物園のような見た目も本当に凄くて、

インスピレーションをたくさんもらえた。

 

それから、キャプションにも感動。

この建築士さんや、建築事務所ではどのように設計をするのか

スタディ模型を使いながら、どうやって議論していくのか

その向き合い方まで知ることができるのは

この展示だからだと思う。

 

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ミュージアムショップでも販売されていた

積み木を使った造形作品。

「祈り」というタイトルの通り

自由さの中に、存在する意思が強く感じられる。

背景にある「誰もが表現者」のキャプションとのコントラストが

本当に良くて、ぎゅっと心を掴まれた。

この写真は画角を考えて撮ったんだけど、

とてもよく撮れたと思う。

 

本当は、600点の建築模型を保管した倉庫見学も

申し込みたかったんだけど、やっぱりかなり人気だったのか

予約が埋まってしまっていて、行けなかったのが本当に心残り。

いつか絶対リベンジしたい。


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良い展示だった。

一番好きだった作品は、写真NGだったんだけど

妹島和世さんと西沢立衛さんの建築ユニットSANAA(サナア)が設計した

スイス連邦工科大学ローザンヌ校にあるラーニングセンター。

 

美しい流線形に、研ぎ澄まされた白。

幾度となく重ねたフィードバックの先にある「正解」。

考え抜かれた建築は、ただただ美しい。

機能美は素晴らしいといつも思うけれど、

本当に美しい建築を見ると、何の知識がなくとも

ただただ美しいと思う感情だけで溢れてしまう。

模型を眺めながら、少し泣いた。

周りに人がいたから、長く見ることもできなかったけれど

きっと私だけで行ってたら、

何時間でもずっと眺めていたかった。

美しい建築は、この世の中に数えきれないほどあって

それらは、人の営みのなか

共に生きているのだなと思う。

 

仕事として、今は少しだけ建築にも携われるようになったけれど

学生の頃描いていたような携わり方ではなくて、

もう設計することもほとんど叶わないし

模型も遊びで作ることはあっても、

スタディを作って、熟考したり

誰かと意見を交わしながら作ることもないんだろう。

 

それでも、こうやって建築や模型に触れるたびに

学生時代に感じていた強い「好き」という感情に

心が震えるし、走り出したくなる衝動でいっぱいになる。

 

建築フェチ、なんて笑われるけれどそれでもかまわない。

私は建築が好きだし、いろんな形で携わりたい。

ライフワークと呼ぶのがふさわしいか分からない。

それでも美しく、ただそこに在るものを愛したい。

 

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同じく寺田倉庫が手掛けた伝統画材ラボ「PIGMENT」も

偶然見つけることができたので行ってきました。


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壁一面に飾られた画材!

本当に色がキレイで、これは顔料なんだけど400色くらいあるらしい。


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美しいよね。

店内には、硯やニワカなども販売されていて

日本画などに使われる画材や絵筆などが揃ってる。

 

あとで調べたら、設計を手掛けたのは建築家の隈研吾さん。

そうだよねえ、木の使い方がまんま隅さんの建築だわ…

 

 

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青い顔料だけのエリアだけ切り取ってみた。

とても綺麗。

同じような色に見えても、粒子の細かさで分けられていたり

わずかな違いでグラデーションができあがっていく。

これらが、岩や宝石を砕いて作られているなんて

想像できないよね。

 


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「キラキラ」の語源にもなった画材たち。

白って200色以上ある~なんて、話題になったけど

ほんとにそう。

どれもキラキラと輝いている白なんだけど

輝き方も、白の発色も、ひとつひとつ違うから

きっと絵を描く方たちは、たくさんの想いをこめて選ぶのだろうなと思う。

 

画材はどれも素敵だったけれど、

私も彼も持て余してしまうので、今回は何もお迎えできなかった。

いつか絵を描く友人たちを連れて、もう一度行けたらいいなあ。

ワークショップをしていたようで、デスクもあったんだけど

いつか私も自分のアトリエを持ったら、

こんな雰囲気にしたいななんて思っていたりする。

素敵なお店でした。

 

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自宅からは少し離れたエリアに足を運んだんだけど

忙しい中一緒に見に来てくれた彼には本当感謝。

彼は建築を学んできたわけでないけれど、

建築自体は好きだし、一緒にたくさん美術館にも行ってくれて

映像の参考にもしてたりするので、

共に良い時間を過ごせるのが嬉しい。

あと、私が建築のオタク解説(考察?)をしても

普通に聞いててくれるのも嬉しい。笑

 

心がずっと揺さぶられた1日だった。

目を閉じれば、美しい建築が浮かんでくる。

何度も何度も反芻しながら、

明日からまた頑張って生きてく。

 

=遊兎=