Cry for the Moon

哀しがりの黒猫のひとりごと。

光よ、どこまでも届け

家にいたところで、何もできないし

じっとしていると泣いてばかりいるので

元々の予定通り彼と出かけてきました。

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ずっと行きたいと思っていた

「テート美術館展 光 — ターナー印象派から現代へ」。

国立新美術館での展示で

チケットになっている絵と

インスタレーションの写真を見て

絶対に行こうと決めてました。

光を表現した展示らしく、きっと彼も気に入るだろうなと思って。

 


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お盆のお休みだからか、

結構人が多くて賑わってた。

でも、もう美術館も人数制限がだいぶ緩くなってきたんだなあ。

こないだまで、事前購入&場内人数制限が必須だったのに

今回は場内の人数制限のみで

当日購入で問題なく入館できました。

 


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見たいなと思っていたうちの1枚目の絵。

展示名にも入っている「ターナー」の作品。

ジョセフ・ターナー「湖に沈む夕日」。

 

今回の展示は、光をモチーフにした作品が多く飾られていて

宗教としての光、

自然を感じる光、

物理的に光を使った立体芸術や現代美術など

幅広く飾られていました。

 

ターナーは、光を絵で表現することを確立した

素晴らしい芸術家なんだけれど

この柔らかくてあたたかな絵がとても好き。


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絶対に見たいと思っていたもう1枚の絵。

今回の展示の顔にもなっている海の絵。

 

ジョン・ブレッドの「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡

 

写真では伝わらないけれど、とても大きな絵で

天使のはしごのように振り降りる光が

ほんとうに、ほんとうに美しかった。

波のひとつひとつが丁寧に描かれていて

光を反射している様子が、生き生きとしていた。

 

この絵の前にはたくさんの人がいたけれど

気にならないくらいに吸い込まれそうな絵で

しばらく、ここに佇んでいた。

美しくて、言葉にならない感情でいっぱいになった。

 


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これは比較的新しい立体芸術。

ペー・ホワイト「ぶら下がったかけら」

2004年の作品らしい。

天井に組んだ枠から、1本ずつ糸でつるされている。

集まった糸と紙が、まるで大きな塊のよう。

影の出方も考え抜かれているんだろう。

光があるからこそ生まれる空間芸術だと思う。


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オラファー・エリアソンの「黄色vs紫」

くるくると回るアクリル板に、光が投影されている

部屋全体を使ったインスタレーション

インスタレーションを見ていると、みんな不思議そうに

ぽかんと口を開けて、何かを受け取ろうとしている表情をするから

ちょっと面白かったりする。

 

インスタレーションだと、撮影はできなかったけれど

ジェームズ・タレル「レイマー、ブルー」もよかった。

四角い壁があって

間接照明のように青いライトに照らされて

近未来のような空間が出来上がっていた。

 

タレル?と聞いて思い浮かんだのは

金沢の21世紀美術館にあるタレルの部屋。

確かあれも四角だったなあ、と思って

帰宅して調べたら、やっぱり同じ作者だった。

ジェームス・タレルの作る空間は、

単純な幾何学を用いているのに、

大胆で整然としていて、堂々たるその姿が潔くて好きだ。


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そして、今回の展示で

どうしても彼に見てほしかったインスタレーション

オラファー・エリアソン「星くずの素粒子

 

順路の一番最後に飾られるに相応しい

とても美しい展示だと思った。

 

ゆっくりと回る大きな球体には

部分的に鏡が貼り付けてあって、

その鏡に反射した光が、床や壁を照らす。

美しい惑星のような、星の光のような作品で

みんながそれを見上げる姿まで、作品の一部のようだった。

 


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この世界にあふれる光を見て、浴びて

そして表現する。

芸術家たちが追求し続けている「光」を

私たちはまた見ている。

 

美しく神秘的で、平等に与えられる奇跡みたいなもの。

 

本当に素敵な展示だった。

光の展示だからこそ、館内の照明はとても良かったし

写真に残せる作品も多くて嬉しかった。

 

彼もとても気に入ってくれて、

帰りにミュージアムショップで

ふたりともが気に入ってやまない海の絵をお迎えして帰った。

しかも、特注サイズの額縁までセットで売られている物だから

ついつい買っちゃうよね。笑

 

額縁から見える海の絵は、

壁に飾ると窓のようで、とても癒されます。

 

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そこから、いつもの中華料理屋さんで早めの食事をして

予約していた映画を観に行った。

キングダムⅢ。

キングダムは邦画の中でもかなり出来の良い作品だと思う。

やっぱり原作がしっかりしてるからなのかなあ。

最近は邦画離れしている私たちだけれど、

キングダムは必ず映画館で見るようにしています。

今回のもとても良かった。

Ⅱで少し失速したかな?(それでもかなり良かったけれど)と思っていたけれど

Ⅲでめちゃめちゃ弾けた感じがあった。

ⅡはⅢのための助走でもあったんだろうなあ。

はやく何度も見られる環境になってほしい。

 


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帰り際、彼がたばこを吸う間待っていたら

戻ってきた彼が私の写真を撮っていた。

 

後ろの招き猫のネオンと相まって

なんだか怪しい商人みたいだと笑った。

 

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たくさん、インプットしたから

きっともう大丈夫。

そう言い聞かせてる。

 

海の絵を見ながら、

これが天使のはしごで

亡くなった人たちが天国へと登っていけるのかななんて。

昔の人は本当にそう思ったかもしれないな。

私もそう思っている。

こんなに美しい景色ならば

きっと幸せに違いないって。

 

=遊兎=