彼の希望でレタしゃぶ。
舞茸のソテーと、きゅうりの浅漬けも。
自分のご褒美に買った生クリームのカルピス。
甘くてびっくりした。
弱っている私に、彼が元気が出るようにと
お菓子を買ってきてくれた。
生チョコ、美味しいな。
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元気がないときに限って、
旧友が連絡をくれるのは、何かを感じ取っているからなんだろうか。
学生時代からの付き合いで、
東京に来たばかりの時にも連絡をとっていた子が
まだ音楽活動を続けていて、新曲を出すので、
そのサムネイルを仕事として受けてくれないかという相談だった。
学生の頃は無償で受けていたものを
もう、デザイナーとして働いているからと
無償はよくないから、安いけれど報酬も用意するって相場も調べて
決して高くはないその金額も
きっと工面して出してくれていることを知っていて。
でもいい物にしたいから、プロにお願いしたいんだと
私を指名してくれた。
昔馴染みだから、無償でもきっとやってたかなとは思ったけれど
音楽をまだ続けていてくれたこと、
創作を一緒にやってほしいと誘ってくれたこと、
私の作るものを信じてくれたこと、
全部が、今絶望の淵で泣いていた私にとって
優しくて嬉しかった。
作ることが好きで、
身近な人間を喜ばせるためにいろんなものを作っていた私の
原点のような依頼だった。
ぜひやりたいと思った。
やらなければいけないことは山ほどあるけれど
でも、私指名の仕事を断っては
幼い頃の私ががっかりしてしまうから。
素敵な花を贈ろう、
きみが満足するような
どれにしようか迷ってしまうような、
ひとつに決めるのが苦しくなるくらいに立派なものを。
この絶望から、光をくれるのは
いつだって私の両手だってことを
私自身が信じたいから。
=遊兎=