手紙を書いていた。
便箋に虹色の光が落ちて、綺麗だった。
アトリエでの作業は、光の具合で何時かわかるから
あえて時計を置いてない。
針の音が気になるのもあるけれど、
時間に追われず、没頭できる空間になっていて
とても居心地が良い。
手紙を書きながら、自分の思うことを
どれだけ相手に伝えられるだろうかと考えていた。
きっとほんのわずかすら、
思いのままに伝わることなんてないんだろうなと思う。
それは諦めのようで、少し淋しいけれど
私もきみも別の人間だからね。
分かり合えないのが普通。
それでも、寄り添って分かり合おうと努力するのが大切で尊い。
相手を思いやれるだろうか、
私はいつも優しくないから。
言葉を間違えないように、何度も繰り返し読んでから
そっと封を閉じた。
今日の晩ごはん。
冷しゃぶと、揚げだし風の厚揚げ。
ワカメのお味噌汁。
彼にネギトロと、私にはたらこ。
*****
上司の返答を待っていた仕事があったんだけど
上司はすっかり連絡を済ませたつもりになっていたようで
「焦らせたい訳じゃないけど、まだですか?」って催促が突然来て
ひゅっと脳が冷えるような感覚になった。
まだ時間はあるけれど、一気に焦り始める。
明日から、詰め込んでやらないと。
=遊兎=