Cry for the Moon

哀しがりの黒猫のひとりごと。

言葉なら私の手の内に

忙しい彼の代わりに、

とあるイベントムービーに使う原稿を書いた。

よくあるゴーストライター案件。

 

パラパラと送られてくる資料を基に

Vコンテに合わせた尺で

ナレーションの原稿を組み立てていく。

 

クライアントから渡された

過去の原稿や、今回の内容をまとめてくれた叩きは

本当に酷いもので、正直使い物にならなかった。

 

誰かに忖度して、こびへつらった文章なんて

耳に残るわけもないし

聞いてて気分が悪くなる。

 

どれだけ短い言葉で、

どれだけ想いをのせられるか。

どんな言い回しで、どんな間で

相手に聞かせる文章にするか。

 

そういうのは得意なほうだ。

目を閉じて、舞台の上を想像する。

 

しっくりとくる言葉は、

何度口に出しても崩れない。

組み合わさっていくにつれ、強固になっていく。

 

そういうのが気持ちいい。

 

彼にもすごく褒められた。

そもそも、私がいなかったら締め切りに間に合ってなかっただろうな。

 

今回はナレーターさんが男性なので

仮ナレは彼が行うことに。

なかなか難しい言い回しとかもあるから、

慣れてないと読みにくそうだったけど

きちんと仕上がったので、チェックにうまく通ってくれるといい。

 

自分の仕事も、もちろん進めているけれど

彼の忙しさほどではないから、

手伝えることは手伝ってあげたいと思う。

 

メンタルが完全にやられて

すぐに泣いてしまったり、体調も不安定だったりするけれど

彼が仕事を任せてくれて、

その結果を褒めてくれるから

自己肯定と達成感を味わうきっかけになる。

 

無意識なのか、わざとなのかわからないけれど

任せてくれるというだけで、

救われてたんだよって、いつか伝えたい。

 

=遊兎=